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トライアルバイクのボルトのはなし

以前、トライアルランド内山(なつかしい!)のブログに掲載したボルトの記事が大変参考になったという話しを聞き、手元にその記事の元ネタが残ってたので、ちょっと追記して再度ウンチクをタレてみます。
ご参考になれば幸いです。

20140306_111158.jpg

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トライアルバイクにはいろんなボルト類が使われていますが、スプロケットやディスクローターの取付ボルトなど、強度の必要な箇所には、それなりのボルトを使用しなければなりません。

例えばベータのバイクに純正使用されているキャップボルトの頭部には「8.8」という数字が刻印されています。
これはネジの「強度区分」といわれる規格表示で、80kgf/m㎡の引張強さで耐力がその80%であるという鉄鋼材料の機械的な強度を表しています。
簡単にいいますと、「引張強さ」とは材料を引張った時にどのくらいの強さまで耐えられるか、「耐力」とは材料を引張っていったん伸びても、弾性でもとにもどることができる限界の値です。
ぶっちゃけ、千切れない強さ、伸びない強さということになります。

普通に売られている小ねじや六角ボルトなどの強度区分は4.8なので、8.8のキャップボルトはその倍ぐらい強いとみていいでしょう。
またこれらの値は応力といって、材料の断面積あたりの力で表されるので、例えばM6とM8のボルトでは1.7倍くらい強さが違うという計算になります。

同じ鉄ボルトでも強度区分が違うと、以下のように鋼の種類が違います。

4.8)低炭素鋼(軟鋼)
ホームセンターで売られている小ねじや六角ボルトは4.8です。
以前ベータ乗りのS選手が、リヤブレーキディスクの取付けに、カインズで買った六角ボルトを使ったところ、ねじロック剤をつけても増し締めしても乗るたびに緩んでしまいました。よくよく見てみたら、ネジ部が乗るたびに伸びて変形していたようです。その後、強度10.9のボルトに交換して解決しました。

6.8)中炭素鋼
この表示のものは見たことないです。

8.8)炭素鋼に焼入・焼戻またはクロムモリブデン(クロモリ)鋼
ベータやガスガス純正のキャップボルトやフランジ付き六角ボルト
ちなみにGASGASのフレームや鉄製ステップもクロモリ鋼の硬い材料を使ってますよね。
ヤスリを当ててもなかなか削れません。

10.9以上)クロモリ鋼に焼入・焼戻
ネジ業者さんにキャップボルトやボタンボルトを注文すると、12.9の黒染めのものか10.9の亜鉛メッキのものか聞かれます。メッキ品は熱処理の関係で強度が少し違うのでしょうか。
なお黒染め処理はめっきと違って錆びやすいです。

・・・では、全部強いボルトを使っておけば間違いないのかという話しになりますが、例えば除雪機のオーガ(雪を取込む羽)は意図的に軟鋼の取付ボルトを使っていて、石などを噛んで衝撃が加わった時にボルトが破損することで部品側を保護するような使い方をしています。
バイクにもガチガチにするとよくない箇所があるかも知れません。

<チタンボルトのはなし>
軽量化オタクのヒロチ君は愛車のボルトをチタンとかアルミ製に交換していますが、チタンボルトにも純チタン製とチタン合金製があって、引張強さはそれぞれ約30キロ/90キロと、かなりの差があります。 
チタン合金は「64チタン」とも呼ばれており、値段的には純チタンの3倍以上はすると思います。
チタンの重さは鉄の約60%なので、強度と軽さを求める箇所にチタン合金ボルトを使用するといったところでしょうか。
軽量化という観点では、M8×40のボルトで鉄より10g軽くなる程度で、1本2000~3000円はしますから、費用対効果は小さいですね。
また振動減衰特性が影響するのか、高速ロードレーサーなど、どこそこをチタンに変えるとフィールが良くなるとか聞きますし、楽器のトランペットではチタン製のマウスピースもあるようです。

<アルミボルトのはなし>
普通のねじ屋で売られているものは耐蝕材(A5056)で25キロ、バイク用として強度を売り文句にしている高力材(A7075)で50キロぐらいの引張強さです。こちらも値段にかなり差があります。
アルミの重さは鉄の1/3とかなり軽量で、トライアルバイクのエンジンカバーに多用しているM6×20のキャップボルトだと鉄6.2g→アルミ2.1gとなります。(数十本換えたとしてもフロントサスのカーボンプロテクタを付けると帳消しになります)
ベータもREV3からアルミ製のホイールアクスルシャフトやピポットシャフトを採用していますが、07年モデルからはエンジンハンガーボルトもアルミとなり、さらにアクスルシャフトの中央部の外軽を細くしたり、前後ホイールハブにも切削加工を入れています。
トライアルマシンの軽量化も限界にきているのかも知れません。

高力材は軽くて強い一方、アルミは疲労強度(繰り返し負荷による材料破壊)が低く、鉄鋼材の半分くらいです。一般的にもアルミ部品化して鉄と同じ強度を確保するには、鉄の2倍の厚さが必要といわれています。

モンテッサコタやベータのフレームやスイングアームには7N01という溶接に向いた7000系アルミが使われていると思われますが、クラックが入ったとかよく耳にします。でもコンペ車両ですからリコール対象にもなりません。
コンペマシンは10年間とかの耐久性など考慮されていないだろうし、もしホンダがTLM200のような公道用市販モデルをアルミ部品を多用して作ったとしても、充分な安全性・耐久性を確保しないといけませんから、かなり重くて高いものになってしまうでしょう。

<ステンレスボルトのはなし>
南海部品やナップスで売られているステンレスボルトは、たぶんSUS304かXM7という種類で、素材の段階では鋼より若干強い程度ですが、冷間圧造加工(素材に型を押し付けてねじにする加工)による硬化が大きく、70キロぐらいの強さになるといいます。
重さは鉄とほぼ同じだし、クロモリよりも値段が高いので、錆びないのがメリットでしょうか。
デメリットとしては、ステンレスは熱を伝えにくく熱膨張が大きい性質から、インパクトレンチなどで締め込んだ時にカジリ付いたりすることがあるようで、カジリ防止材を使用したほうがよさそうです。特にメネジ側がアルミだとカジリやすいみたいです。
あと、異材との接触で電食という問題が発生することもあります。
鉄製の建築用アンカーボルトにステンレス製のナットを使い、その部分だけ錆びたのを見たことがあります。

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以上、記事には推測や適当でない内容もあるかと思います。特に合金関係は製造元により強度・特性の公証値が違ったりしますので、ご容赦ください。
[ 2014/04/13 23:37 ] バイクメンテ・用品 | TB(0) | CM(0)

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